八戸ドクターヘリ

当院は 青森県ドクターヘリの基地病院です

ドクターヘリと救命スタッフ

ご挨拶

ついにやつは来た。

特殊合金に包まれたボディーはヨーロッパホワイト。2機のエンジンにつながる6mの4枚プロペラを高速で回して、高度400mの青空からゆっくり降りてきた。

カナダ製のエンジン音は、本州最北端を1時間余りで往復した疲れなど微塵も感じさせない低重音だ。ドイツデザインの曲面アクリルガラスの向こうには、右手で操縦棹、左手でスロットルレバーを操るパイロットと、安全確認のため着陸地点を凝視する整備士が見える。後部席の重症患者の姿は見えないけれど、通信司令室と無線交信する救急医師の影が伺える。

奴は、県知事と市長を取り囲むダークグレーの背広集団の目の前に、強烈なダウンウォッシュを吹きつけながら近づいてきた。目指すは中央に大きなHのマークを抱くオレンジ色の十字。吸い込まれるようにぴたりと着地した。その地下に、奴の4倍の重量まで支えられる鋼鉄が何重にも仕組まれていることなど、背広のギャラリーは気づくはずもない。

奴の最後尾には舵を取るテールローターが回っている。近づく人間に危険を知らせるため、その部分だけが朱色に染め上げられている。

奴の名前はドクターヘリ。コールサインは「青森ドクターヘリ1」。

 

2004年、八戸市立市民病院にドクターヘリ誘致運動の産声が上がった。

誰もが夢物語だよと言い放った。

2006年には八戸市最重点目標に掲げられ、関係者は本気を悟った。市民の関心も高く、何度も地方紙の見出しとなった。「青森県にドクターヘリを、八戸市立市民病院を基地病院に」

青森県は多くの痛みと譲歩の末に、2008年10月ドクターヘリ導入を決定した。基地病院の認定条件は厳しく、その重責を背負えるのは青森県に八戸市立市民病院救命救急センターしか存在しなかった。それが、青森県から基地病院を依頼された真の理由だった。

今、国内18番目のドクターヘリが命を救うため八戸市立市民病院を離陸する。魂をこめて。

 

今 明秀

 

これまでの実績

2009年3月25日よりドクターヘリ運航を開始しました。

2011年4月1日より青森県立中央病院と共同・分担運行を開始しました。

※当院の基地病院担当月:4・5・8・9・12・1月

2012年10月1日よりドクターヘリ2機運用体制を開始しました。

※当院と青森県立中央病院に各1機常駐配備

2014年10月1日より3県(青森、岩手、秋田)広域連携本格運航を開始しました。

運行初日の式典前に入った要請から、2023年3月末日(令和4年度)までの当院における実績は以下の通りです。

総要請件数 6,526
現場出動 4,264
転院搬送 1,067
キャンセル(要請元キャンセル、途中帰投 等) 396
不出動(天候不良、重複要請 等) 1,195

 

ドクターヘリの運航に、ご理解をお願いします。

救急医療の専門医師や看護師が搭乗したドクターヘリは、早期に治療を開始し、搬送時間を短縮させることで、救命率を向上させ、後遺症を軽減させることができます。
一方、ドクターヘリは航空法等の関連法令を遵守し、気候状況や距離等を考えて運航していますが、ドクターヘリの特性上、運行中及び離着陸の際には騒音や吹き降ろしの風、砂塵等が発生してしまいます。このため、運行経路にあたる地域にお住いの皆様には、ご迷惑をおかけする場合もございますが、ご理解とご協力をお願いいたします。