消化器内科・消化器内視鏡科・化学療法科

消化器内科・消化器内視鏡科・化学療法科

病院の理念である「市民の健康と生命を守るため,常に医療の質の向上に努め,患者中心の恕いやりのある医療」を,消化器領域の特に緊急性がある病気,がんなどの命に関わることもある病気,長く付き合っていかなければならない難病の診療を通じて実現していくことが当科の使命です.いざという時に頼りになる存在でありたいと思っています.

診療体制・基本方針

私達 消化器内科・消化器内視鏡科・化学療法科 は一つのチームとして、消化器疾患に対する診療にあたっています 。各医師は消化器内科のなかでもさらに専門分野を持っておりますが、それぞれが知恵を出しあい他科や他職種のスタッフとも協力して安全で質の高い医療を提供いたします.
診療にあたっては十分な説明を行い,患者さんご自身やご家族がより良い意思決定ができるように手助けしていきます.
消化器疾患の専門家として最良の科学的根拠に基づいた医療を行うとともに、お一人お一人の意向を汲み固有の価値観を尊重した全人的な医療を心がけてまいります.

(消化器科からのお願い)
*当院は地域医療支援病院であり原則として他の医療機関からの紹介状(診療情報提供書)が必要です。以前に受診されたことがあっても、既にその病気が治癒している場合や他の医療機関に紹介して一旦治療が終結している場合や患者さん自身の判断で治療を中止された場合も同様です。 二次検診は電話での予約をお願いしています.但し消化管出血等の緊急を要するケースはこの限りではありません.

*現在予約が非常に混んでおり受診までにかなりの時間がかかってしまっています.緊急を要する方以外でも特に重大な疾患の疑いのある方や症状が強い方は、予約枠を大きく越えて予約を入れておりますが、その結果病院に来てから診察や検査までの待ち時間もますます長くなってしまっています.皆様にはご迷惑をおかけしておりますが、1日でも早く診察・検査ができるようにするためですのでご理解下さいますようお願い申し上げます.

*地域医療連携を効率的に機能させるためには初期診療を担当する「かかりつけ医」を 持って頂き当院は急性期や重症な患者さんに対する医療を提供するという機能分担を明確にすることが大切だと考えます.病状が安定した方は再び「かかりつけ医」などにご紹介することで、医療資源の有効活用ができ地域医療の向上が期待されます。当科は今後も積極的に地域との医療連携を推進してまいります.

*他の病院の意見を求めるセカンドオピニオンという制度があります.ご希望の場合は遠慮なく仰ってください.

*当院は臨床研修病院,日本内科学会教育病院,日本消化器病学会認定施設,日本内視鏡学会指導施設ですので、研修医が専門医の指導のもと診療に当たることがあります。また当科は東北大学医学部の教育協力病院 でもありますので医学生が診療に立ち会う可能性もございます.

患者の皆様のご理解、ご協力をお願いいたします .

対象疾患

おなかの病気のうち消化管(食道、胃、小腸、大腸)や肝臓、胆道、膵臓の病気を扱う科です。症状としては腹痛、下痢、吐下血、黄疸などで疾患としては以下のものがあります.
食道・胃の病気
逆流性食道炎、食道がん、食道静脈瘤、胃ポリープ、胃がん、 胃・十二指腸潰瘍など
腸の病気
大腸ポリープ、大腸がん、急性腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、憩室出血など
肝臓の疾患
急性肝炎、慢性肝炎、肝硬変、肝臓癌、肝膿瘍など
胆嚢・胆道の疾患
胆石・総胆管結石、胆嚢ポリープ、急性胆嚢炎、胆嚢癌、急性胆管炎、胆管癌など
膵臓の疾患
急性膵炎、慢性膵炎、自己免疫性膵炎、膵嚢胞、膵臓癌など

診療内容と実績

診療実績

内視鏡実績

最新の内視鏡システム(オリンパス社EVIS X1 2台、LUCERA Elite 3台,富士フイルムメディカル社 LASEREO 1台)、を導入、色素や特殊光を用いた拡大観察や超音波内視鏡などを用いて早期発見や正確な診断に基づいた適切な治療をできるように努めています。2010年からは小腸カプセル内視鏡を、2016年からは大腸カプセル内視鏡,2018年からはダブルバルーン内視鏡を導入して消化管の全範囲を検査できるようになりました。2020年にはJED(Japan Endscopist Dataase)に対応したデジタルファイリングシステムNexus (富士フイルム社)を導入しました。

食道静脈瘤の破裂予防、胃・大腸のポリープや早期癌に対する切除、胃瘻の造設、腸管のバルーン拡張やステント挿入、閉塞性黄疸に対するドレナージ術や胆管結石を除去する治療などの内視鏡治療も多く行っております。また当院は救急患者が多いことから消化管出血、消化管異物や急性胆管炎に対する内視鏡治療にも24時間対応可能な体制を取っており概ね年間約1200件(全体の17%)と多くの緊急内視鏡を行なっています。
15歳以下の小児に対する内視鏡も適応があれば積極的に行っており,2007年~2016年では上部消化管内視鏡(治療含む)171件、下部消化管内視鏡(治療含む)376件、膵胆管内視鏡1件行っています.
近年では当科でも鎮静剤を用いて行うことも増えています.呼吸抑制などの副作用もあることから当科ではリアルタイムで各種モニターをして事故が行いように細心の注意を払って行っています.現在は全体の13%(約900件)の検査で鎮静を行っています.

具体的な検査や治療の検査件数は以下のグラフをご覧下さい.合併症に関しては最後にまとめて記載してあります。

*日本消化器内視鏡学会のガイドラインでは下部消化管内視鏡の質の高さの指標として,大腸腺腫発見率(Adenoma Detection Rate:ADR)に言及されています.検査理由などの影響があることから一概には言えないのですが,一般に男性30%, 女性20%程度以上あれば質の高い検査ができているとされています.当院の二次検診を対象としたADRは51%でした.

*中等症以上の急性胆管炎では早期の内視鏡治療が望ましいとされますが,当院では急患室で受付をしてから43%の方は8時間以内に,58%の方が24時間以内に内視鏡治療ができています.(24時間後以降の方は殆どが軽症の方でした.)

EMR: 内視鏡的粘膜切除術
ESD:内視鏡的粘膜下層剥離術

SEMS:自己拡張型金属ステント

内視鏡の合併症(偶発症)

入院(もしくは入院の延長)を要した内視鏡の合併症・偶発症は2015年1月から2022年12月までの集計で以下の通りです。

*下部消化管内視鏡 検査総数12150件 穿孔1件(0.008%)で緊急手術を要しましたが治癒しています.
*大腸EMR 治療総数1377件 出血21件(1.51%)でうち3件(0.2%)で輸血を1件(0.07%)で手術を要しましたが,いずれも治癒しています.出血した方のうち13名(62%)が抗血栓療法を行っており,うち7名(33%)は多剤併用でした.また,穿孔は1件(0.07%)でしたが,手術をすることなく治癒しています.
*大腸コールドポリペクトミー 治療総数677件 出血2件(0.2%)で輸血や手術を要した方はおられませんでした,また,穿孔もありませんでした.出血した方のうち1名が抗血栓療法をおこなっておりました.
*大腸ESD 治療総数198件のうち出血を6件(3%)に認め,1件(1%)で輸血を要しましたが改善しています.手術を要した方はおられませんでした.出血をした方のうち5件(83%)が抗血栓療法を行っており,うち3件(50%)は多剤併用でした.穿孔は1件でしたが手術をすることなく改善しています.
*胃ESD 治療総数118件 出血2件(1.7%)でしたが輸血・手術を要した方はおられませんでした.出血のうち1件が抗血栓療法(多剤併用療法)をおこなっておられました.穿孔した方はおられませんでした.
*食道EMR 治療総数15件 出血1件で抗血栓療法を行っておられました.
*大腸SEMS 治療総数80件 穿孔1件(1.25%)で緊急手術を要しましたが改善しております.
*上部消化管バルーン拡張 治療総数254件 穿孔1件(0.39%)で穿孔に対しては手術は行いませんでしたが,穿孔後28日目に狭窄に対して手術が行われました.
この期間中鎮静による重大な合併症は1例でした.

肝疾患診療実績

CH-C:C型慢性肝炎
CH-:型慢性肝炎
AIH:自己免疫性肝炎
NASH:非アルコール性脂肪肝炎

RFA:経皮的ラジオ波焼灼療法
PEIT:経皮的エタノール注入療法
TAE:経カテーテル動脈塞栓術
HAIC:持続肝動脈化学療法

IBD(炎症性腸疾患)治療実績

これまで延べ143名 現在100名が通院中です.
CD early onset(17歳以下で発症のクローン病)が34名
うち15歳以下が19名,VEO-IBD(2歳以上6歳未満) ,Infantile IBD(2歳未満) は0名

これまで延べ346名 現在242名が通院中です
UC early onset(17歳以下で発症潰瘍性大腸炎)が32名
うち6歳以上15歳以下が20名,VEO-IBD(2歳以上6歳未満) 6名,Infantile IBD(2歳未満) 1名

その年に一度でも分子標的薬を用いた方(重複あり)は以下の通りです.

IFX:レミケード,インフリキシマブ
ADA:ヒュミラ,アダリムマブ
UST:ステラーラ(ウステキヌマブ)
VDZ:エンタイビオ(ベドリズマブ)
GOL:シンポニー(ゴリムマブ)
TOF:ゼルヤンツ(トファシチニブ)
CAR:カログラ(カロテグラストメチル)
FIL:ジセレカ(フィルゴチニブ)
UPA:リンヴォック(ウパダシチニブ)
RIS:スキリージ(リサンキズマブ)

顆粒球除去療法の推移は以下の通りです.

施設認定
日本内科学会認定医制度教育病院
日本消化器病学会専門医制度認定施設
日本消化器内視鏡学会専門医制度指導施設
日本超音波医学会専門医研修施設

診療受付時間・外来診療担当医のご案内

診療受付時間

消化器内科、内視鏡科、化学療法科の診療受付時間と休診日は下記となります。

診療受付時間のご案内
診療受付時間 午前8:15~午前11:00
休診日 土曜日・日曜日・祝祭日・年末年始(12月29日~1月3日)

外来診療担当医

外来診療担当医一覧表ページでご確認ください。

担当医師のご紹介

私たちが、八戸市民病院の消化器内科、消化器内視鏡科、化学療法科を担当しておりますので、宜しくお願いします。

病気についてや症状でお悩みの方など、お気軽にご相談ください。

沖 元二 (おき もとじ)
所 属 科 消化器内科、消化器内視鏡科、化学療法科
出身大学 東北大学医学部(東北大学消化器内科)
卒 業 年 平成3年
専門分野 消化器内科一般、大腸・小腸疾患、炎症性腸疾患、身体表現性障害
コメント 医学博士
日本内科学会評議員
日本内科学会総合内科専門医・指導医
日本消化器病学会専門医・指導医
日本炎症性腸疾患学会 IBD専門医・指導医
日本消化器内視鏡学会専門医・指導医
日本精神神経学会専門医
精神保健指定医
CPMS登録医
日本医師会認定産業医
臨床研修指導医
東北大学医学部臨床准教授
佐藤 真広 (さとう まさひろ)
所 属 科 消化器内科、消化器内視鏡科、化学療法科
出身大学 福島大学医学部(東北大学消化器内科)
卒 業 年 平成9年
専門分野 消化器内科一般、膵疾患、胆管疾患、膵胆管内視鏡
コメント 医学博士
日本内科学会認定医
日本消化器病学会専門医
日本内視鏡学会専門医
荒井 壮 (あらい たかし)
所 属 科 消化器内科、消化器内視鏡科、化学療法科
出身大学 弘前大学医学部(東北大学消化器内科)
卒 業 年 平成16年
専門分野 消化器内科一般、大腸・小腸疾患、炎症性腸疾患、大腸ESD
コメント 医学博士
日本内科学会認定医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
大原 祐樹 (おおはら ゆうき)
所 属 科 消化器内科、消化器内視鏡科、化学療法科
出身大学 岩手医科大学(東北大学消化器内科)
卒 業 年 平成24年
専門分野 消化器内科一般、食道疾患、胃・十二指腸疾患、食道・胃腫瘍内視鏡治療
コメント 医学博士
日本内科学会認定医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
大山 秀晃 (おおやま ひであき)
所 属 科 消化器内科、消化器内視鏡科、化学療法科
出身大学 近畿大学医学部(東北大学消化器内科)
卒 業 年 平成27年
専門分野 消化器内科一般、大腸・小腸疾患、炎症性腸疾患、大腸腫瘍内視鏡治療
コメント 医学博士
日本内科学会認定内科医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
遠藤 信也 (えんどう しんや)
所 属 科 消化器内科、消化器内視鏡科、化学療法科
出身大学 弘前大学
卒 業 年 令和4年
専門分野 内科一般、消化器内科一般、内視鏡診断・治療
コメント
田中 彩華 (たなか あやか)
所 属 科 消化器内科、消化器内視鏡科、化学療法科
出身大学 千葉大学医学部
卒 業 年 令和4年
専門分野 内科一般、消化器内科一般、内視鏡診断・治療
コメント