臨床研修について

はじめに

医学生の皆さん。八戸市立市民病院事業管理者の今明秀です。大学生活で、勉強、実習、部活動、読書、恋愛、それとコロナ対策、たくさんのこと、お疲れ様です。

気温がようやく20度となり、春らしくなった北国に、今年も新研修医が採用になりました。引っ越ししてきた人は、寒くて大変なところに来たな、と思っているかもしれません。でも、保証します。数日後には晴れた日に、澄みきった冷たい青い空気を毎日吸うことが気持ちよくなります。数週間後には、病棟での研修が始まり、膨大な医学知識と手技、マナーを教わるとき、医師のスタートを八戸で切ったことに間違いはなかったと思うはずです。１か月後、救急外来で、危機的状況の患者の冷たく湿った橈骨動脈に触れる時、大学病院では患者から２m離れて眺めていた自分と比べて大きな進歩を確信するはずです。数か月後、ドクターカーで現場へ出動し気管挿管を指導医からやれと命じられた時、そして見事に成功した時、その達成感に酔いしれるはずです。半年後、他施設に行った同級生と意見交換すれば、八戸がまるで外国のようだと、うらやましがられるはずです。1年後、まだ自信のない自分に落ち込むとき、大勢の後輩が新採用され、シャドーイング（研修スタートは、2年目研修医の後ろにぴったりついて生活します。医学を学ぶのではなく、病院のルールを覚える）で教える時、組織の一員として役立っていることを始めて感じるはずです。2年後、活気ある研修医生活を終えた時、わずかな自信と、八戸という名前の誇りが身についていることを自覚するはずです。3年後、学会や雑誌、ネットで八戸の名前が出るとうれしくなり、後輩に自分は八戸の卒業生だと、胸を張っているはずです。だから、青い冷たい澄み切った北国の空気は、充実した臨床研修のスタートの重要な因子です。TCAサイクルのチアミンのように。

私は好きです。青い空にひばりが飛び、そこをドクターヘリが横切る日本の八戸を。

これから、皆さんがまだ見たことない八戸市立市民病院を紹介しましょう。それは、USJのハリーポッターに入る前の胸の高鳴り、竈門炭治郎が悲しみの連鎖を断ち切る刃を振るう時の期待感、まだ見ぬTDLのファンタジースプリングスを思う高揚感に似る。

これから、八戸市立市民病院の紹介をしましょう。

指導医

指導医には多くの役割があります。「胸痛を診たら、心筋梗塞、大動脈解離、肺塞栓、食道穿孔を除外しなさい。」と言う知識の伝授、「ベッド上の患者と話すときは、必ず座って話しなさい。」と言うマナーの伝授、「50歳以下では多彩な症状を呈していても、ひとつの病気からくると考えて鑑別診断をしなさい。」と言う経験則の伝授、「採血がしにくい場合は、腕を下垂させればいい。」と言う手技の手ほどきなどです。また研修医の肉体的、精神的ストレスへの配慮も一人一人に必要です。さらに将来の医師像としてロールモデルになれれば最高です。
私は、医師スタートは当時では珍しい、多科ローテーションの研修医生活を送りました。当時は、外科ストレートの研修医をうらやましく思ったものです。しかし今こうして長く医師をやっていると、研修医時代の無駄と思われた、婦人科や、皮膚科、小児科、麻酔科の研修が肥やしになっているのです。当院ではローテーション経験のある医師が、研修責任者として君たちに接することになります。西村臨床研修センター所長は研修医１期生です。皆さんがこれから直面する問題を十分理解しています。

病院は五つ星

ホテルなら五つ星の超有名ホテル。病院の五つ星とは①臨床研修指定病院②地域医療支援病院③救命救急センター病院④周産期センター病院⑤日本医療機能評価機構認定病院となる。これをクリアーする病院は日本にそう多くない。五つ星病院で働いてみないかい。

建物は1997年築

建物は２６年前に建築されています。皆さんが生まれる前。でもすごいんです。病院建築雑誌の表紙を飾ったことがあります。玄関を入ってすぐのホスピタルモールと名づけられた広場は、フローリングで4階までの吹き抜けです。外国のハブ空港かリッツカールトンホテルかという外観です。公立病院としてはいい線行っています。そこは外来患者の憩いの場所であり、各種講習会の会場、コロナワクチン接種会場になります。一次救命処置＆AED講習会では、350名を収容しました。外傷初期診療講習会では150名を収容しました。災害時は、救護所に変身するため、壁には酸素の配管が備えてあるのです。２月の大規模災害講習会は吹き抜け2階ギャラリーから訓練全景が丸見えにして行います。周産期救急講習会の救急車内分娩実技は、ホスピタルモールにつながる自動ドアから救急車を室内に入れてしまいます。新築の病院に比べれば、建物に輝きはありません。でもスガシカオを古いという人はいませんよね。”横一線でスタートを切った。つまずいているあいつのこと見て”。臨床研修病院八戸市立市民病院を見に来てください。古さよりprogressを感じますよ。

八重洲口から3時間

東京駅から日本最速新幹線「はやぶさ」に乗ってください。朝東京を出て、時速320kmで2時間44分後には八戸駅に到着します。昼に「ウニご飯」を病院食堂で一緒に食べられます。例年見学者は120名突破。見学者用院内宿泊施設は夏には満員御礼。北海道新幹線が開通したので注意が必要です。東京駅から2時間44分はあっという間です。寝過ごすと長さ世界2位の青函トンネル内で目覚めます。青函トンネルの長さは54kmで山手線一周半。

研修医室

2面ガラス張りの太平洋に向いた方向に、研修医40名収容の研修医室があります。残念ながら、皆さんが部屋に戻るのは、日暮れ後のため、せっかくの風景を拝めません。きれいに整頓されている机と、ペットボトルが散乱している机。どうぞウォッチングしてください。１年後の自分がどちらになるかを想像してください。

当直室

バス、トイレつきシングルベッドの個室です。学生は見学時に宿泊できます。サービス朝食無料。枕は選べません。病院だから空調の清潔さはホテルを超えています。だから花粉症も怖くない。八戸市は関東、関西に比較して排気ガスが少ないためか、花粉症の患者は少ないです。また花粉が飛ぶ期間は関東の半分です。都市部に住んでいて花粉症で悩んでいる君、花粉症の季節に試しに八戸市を訪れてみてはどうでしょう。鼻水がたまる感染防御のマスクは不快なものですよね。ワクチン接種後でお願いします。

レディースドクター専用ルーム

女性医師のために、専用の休憩室を作りました。男性進入禁止です。八戸では研修医採用の男女比の操作はしていません。ご安心ください。

積雪

八戸市は、冬の積雪20cmくらいです。しかし、気温は零下に下がるため、スタッドレスタイヤは必要です。車で５0分走ればスキー場があります。バックカントリーもできる安比スキー場までは80分くらい。スノーボードで怪我をしても心配ありません。オレンジ色のバックボードで全身固定されたあなたを八戸ドクターヘリが迎えに行きます。鎖骨の高さに感覚障害があれば、それは第４頚髄損傷の所見。呼吸筋麻痺で呼吸障害が出ますよ。

晴れ

天気が良い日が多い。太平洋側気候の最北端です。夏は湿度が低く過ごしやすい。梅雨の西日本の不快感と比べれば、外国のようです。素敵なブラウスにカビが生えることはありません。夏の最高気温はもちろん30度を超えますよ。日本ですから。東京、大阪の灼熱地獄とは無縁です。それにしてもなぜあれほど熱中症が発生する都会に人が住むのでしょうか。2年も八戸に住めば、みんなそう思います。研修医は夏の猛勉強で都会の研修医と差をつけろ。八戸では心地よい気温と湿度で脳細胞がATPを有効利用できます。八戸学院光星高校の高校野球が強い、青森山田高校のサッカーが強い。要因は夏の心地よさだったのか。

歓楽街

長横町と言う、東北屈指のネオン街が近くにあります。魚の水揚げ量と地酒の豊富さを合計すれば、全国の研修病院中でおそらく日本一。町のシンボルはイカです。研修医の給料で十分堪能できる低価格です。ブランド鯖の和食、B級グルメ優勝のせんべい汁、日本最高を味わってください。イタリアンやフレンチレストランでは、田子町産のニンニクを使用します。六本木のレストランでも田子ニンニクを使います。世界一の品質です。でも長横町は歌舞伎町とは違い外国人が少ないので、スリルは味わえません。

三沢エアベース

三沢米軍基地のERから搬送されてくる患者はとても多いです。皆さんの英語力はどれくらいですか。患者と一緒に迷彩服の軍医がついてきます。よく話を聴くと、彼らも研修医。スマホで文献検索しています。三沢米軍病院勤務医師は当院で研修しています。英語と言えば海外留学ですね。八戸市立市民病院の研修医から後期研修へ進むと海外留学を支援する仕組みを受けられます。

海

国立公園に指定されている海岸には、鳴く砂があります。天然芝の緑がまぶしい。お台場の人工砂や、沖縄の歩くと痛い砂とは違います。ボディーボードやサーフィンポイントまで病院から25分。しかしスキューバダイビングは禁止です。なぜならそこいらじゅうに鮑が養殖されているからです。外科医局では夏になると海水浴＆BBQに海岸へ繰り出します。ビーチは長さ400m、日本海水浴場百選。外科医師全員が海に出ても大丈夫。緊急手術時は、すぐに戻れる距離です。研修医は4月に一次救命処置講習会を受けているけれど、自分が溺れたら役に立ちません。海水溺水と淡水溺水の違いは前者で、海水を飲むせいで高ナトリウム血症が多い。

給料

45万円で不人気だったので、55万円に値上げしました。この額はアメリカの研修医を超える給料。どうだい十分でしょう？研修医を15名以上採用する病院では、最高額に近い。さらにボーナスも出る。救急室呼び出しには時間外手当も出る。安い、旨い、近い歓楽街へは、仕事のせいで、さらにコロナのせいで時々しか出かけられないので、貯金ができます。車も買えます。アパートに車を停めていても海が近いのでかもめの糞が時に車に降りかかります。冬はバイクに乗れないので、結局車が便利。バイク事故での急性硬膜下血腫（CT三日月型）にならずに済みます。

カフェラテ

医局では、カプチーノとカフェラテを無料で飲めます。うらやましいでしょう。病院の向かいにはスターバックスがあります。近いけどスクラブを着て行ってはだめですよ。

学会

年間約30万円の学会出張費がもらえます。都内の研修医は、学会出張はつまらないです。なぜなら全て日帰りだからです。八戸からだと一泊で旅行気分です。世界最速時速320kmの新幹線「はやぶさ4号」に乗ると、東京駅着９時２３分なので、午前の学会にちゃんと出席できます。一泊して翌日も学会や講習会に出て夜にまた八戸に帰ります。東京駅終電は20時と早いので要注意です。ハメをはずして乗り遅れた君には、夜行ハイウェイバスが待っています。バスに乗る前には水分補給を忘れないでください。肺塞栓と深部静脈血栓症のリスクファクターを思い出せ。マスクも忘れないでね。

ACLS

病院では救急医学会認定のICLSと言う心肺蘇生二次救命処置講習会を行なっています。遠くに出かけなくても受けられます。費用は病院で負担してくれます。年間300人運ばれてくる心肺停止状態の患者に立ち向かいます。

外傷初期診療コース(PTLS)

１年目の救急当直は毎年６月に月１回から始まります。８月には週１回に増えます。その前に外傷診療講習会を受講します。「重症外傷患者が運ばれてきます。当直医はあなた一人です。看護師が一人つきます。開始してください」PTLSには、九州、北海道からも受講生が来ます。テキストは、「Primary-care Trauma Life Support,元気になる外傷ケア」DVD[まちがいのない救急基本手技]。気道、呼吸、循環、意識、体温の順で評価と処置をしろ。困ったときに、エクスペクトパトローナムを唱えても、救急室では無力です。

日本一の循環器内科

心臓カテーテル検査は800例以上を誇ります。循環器内科は、内科研修では一番人気。心筋梗塞の急性期治療の国際基準は心臓カテーテル治療のdoor to baloon timeを90分以内にすること。この指標を国内施設で比較しています。二年連続100%達成は国内で一施設。それは八戸。救急外来には、週に3回は除細動症例が来ます。循環器内科研修中の君は2ヶ月で何回除細動できるかな？3年目に専攻医後期研修に進めば心臓カテーテルが夢にも出てくるそうです。救急外来には一日に2回は同期除細動症例が来ます。3ヶ月で何回除細動をかけられるかな？心室細動には電気ショック・除細動（いわゆるDC）、心房細動には同期除細動（cardioversion）です。違いをしているかな？

胃切除、外科

研修医の信頼一番。古い時代より研修医を教育してきています。術前、手術、術後、どっぷりと外科です。研修医全員が外科をローテートします。私は、将来の専門科が何であろうと、外科の経験は必要だと思っています。医師免許を持っているのですから、外科の初歩の経験は必要です。そんな研修医をここでは育てています。期間は３か月と１か月から選べます。

気管挿管は一人平均80例、麻酔科

気管挿管は全身麻酔で一人平均80例くらい経験します。そのために麻酔研修は3ヶ月回る予定です。その前に気管挿管実習は、５月に行います。人形に一人80から120回挿管します。銀色のマッキントッシュ喉頭鏡の手技習熟をここまで仕込む病院はほかに聞きません。ビデオ喉頭鏡とマッキントッシュ喉頭鏡の両者を使える研修医が八戸で育ちます。気管挿管後に急変したら考えることは、「いったん便器」気管チューブの位置異常、痰詰まり、ベンチレーター不良、気胸です。麻酔研修ゼロも選べます。

にんにく日本一、リンゴ日本一，マグロ日本一、サクランボ三位

地域医療研修は、にんにく日本一で田子牛の産地の田子町の診療所で行ないます。焼肉好きは高脂血症に注意。田子町までは車で１時間半。日本一の青森リンゴと、サクランボが有名な南部町にある医療センターでは、地域医療研修で内視鏡研修もできます。どちらも、へき地医療が専門の自治医大卒業医師が指導します。山菜は春、サクランボは初夏、ニンニクは夏、リンゴは秋から冬、いつ地域医療研修に行くか迷う。患者救急搬送時はヘリコプターです。日本で唯一離島分娩を実行している隠岐諸島の病院、ハブ咬傷がまだある奄美大島も選べます。大間マグロの本州最北端大間病院、へき地なのに、ヨーロッパ人が多い原子力施設建設中の六ケ所村医療センターではフランス人も受診してきます。馬肉（さくら肉）と坂とサッカーの３Sがある五戸町立病院も選べます。災害現場時出動には安全管理が大事です。災害の安全(Safety)の3Sは自身の安全装備（self）、現場の安全確保(scene)、傷病者の安全確保（survivor）の順に優先されます。

悩みに寄り添い、心の火を灯す精神医療

患者さんやそのご家族が精神疾患という暗闇の中に立った時に、一歩踏み出す勇気を持ってもらうためには、科学的知見に基づく最新の知識や技術は勿論のこと、悩みに寄り添う質の高い治療が必要になります。八戸市立市民病院精神神経科は、患者さんのみならず周囲の支援者の心に灯を灯し、自分が求める生き方を主体的に追求する手助けをします。学生実習では学ばなかった、大事な連携精神科医療を八戸では経験できます。そうです、精神科と一般診療科が連続するのです。例えば、救命救急センターと連携した悩みに寄り添う自殺既遂者およびてんかん診療、周産期センターと連携した安心の周産期のメンタルヘルスケア、緩和医療科と連携した患者さんとご家族に寄り添う終末期のメンタルヘルスケア、学校や各種行政機関と連携した児童思春期患者の受け入れ、消化器内科受診のアルコール依存症患者への断酒支援や節酒治療などです。研修医は、精神科研修を一か月必修にしています。精神科病棟と、周産期センターと緩和医療センターを併設している大病院は国内に数えるほどです。３つのセンターと併設している精神科病棟研修はまれなチャンスです。
さらに、君たち自身の問題です。研修医生活は山あり谷あり。自ら心に変調を来したら早めに精神科を受診しましょう。わずかな期間の薬物治療であっという間に、元に戻れます。

ばっちりの小児科

一次救急も、病棟も、外来も、NICUも、新生児ドクターカー搬送も全部やっちゃう小児科です。小児のcommon disease は、ばっちりです。君の受け持ちで一番多いのは痙攣か、それとも喘息か、イヤ感染症？帝王切開後の新生児の診療は君の役割。一緒に診療する指導医も八戸研修医卒業生です。難病の小児患者さんから「先生、将来私結婚できますか？」と質問されたとき、みなさんなら何て答えますか。その疑問の答えは研修中に見つけられます。

風疹、麻疹、水痘、肝炎対策

免疫のない研修医は、無料でワクチンを受けられます。イヤー、至れり尽くせり。1987年三重大学の研修医とそれを指導する２８歳の谷本医師が劇的肝炎に罹りました。研修医は４月から小児科研修を開始し、７月に発症しています。潜伏期間３か月でした。谷本医師も１週間遅れで発症しています。強毒性のB型肝炎の患児から感染したということが後年判明しました。集中治療の甲斐がなく、二人は短い医師人生を終えました。その事件は厚生労働省を動かしました。B型肝炎ワクチンの医療者への接種が始まったのです。もし、二人がワクチンを受けていれば、結果は変わったのに。いま、ワクチン接種が普通に行われているのは、二人の犠牲のもとです。亡くなった谷本医師は私の大学同級生です。ラグビー部でした。当たり前に受けているワクチンは、研修医の犠牲のもとに普及したのです。

日本一の産婦人科

分娩数が年間1,000件を超えます。地域分娩貢献率（当院の出生数／八戸圏域全分娩数2,252人）という指標があります。多いほうが恵まれている地域です。八戸は63%で、600床以上の全国自治体病院で日本一です。外科の後に回ると、赤ちゃんが誕生する光景は癒しになります。ところで皆さんは手先が器用でしょうか？もしyesなら、帝王切開の手術チャンスがあります。研修医は執刀したその夜に、夜遅くまで病棟に残ります。達成感と疲労感が研修医のモチベーションを上げます。そんな魅力的な産婦人科研修をここでは受けられます。

チームフェラーリの脳外科

スポーツカーのレースの最高峰にF1があります。フェラーリの強さの秘密は、車の性能がずば抜けていること、ドライバーが優れていること、そしてほかのチームを圧倒しているのが、ピットインした車のタイヤを数秒で4輪とも交換できることです。リーダーの合図で、十数人の赤いつなぎの男たちが、車の前後左右から車に近づき、すり減ったタイヤを新品のタイヤに同時進行で交換します。瞬きする間もなく。車はレースレーンに金属音を排気管から鳴らしながら復帰します。ピットでの1秒を短縮するために、赤いチーム員は何年も何か月も訓練しています。脳梗塞に対する緊急治療にｔPA投与と血管内血栓除去治療があります。八戸市立市民病院脳血管治療チームフェラーリは、来院からｔPA投与までの時間を１０分を目指して訓練をしています。１時間でなくて１０分。世界最短を目指します。

超緊急輸血

交差適合試験が、間に合わない出血性ショックに対して、超緊急で、血液型を合わせて輸血を開始します。これが出来ないと患者は命を失います。血型判定を待てない超緊急時には緊急Ｏ型輸血を行います。この体制が完備されている救命救急センターが八戸にはあります。「O型４単位持ってきて！」その指令に研修医が走ります。実は2022年より、検査技師がＥＲに常駐となり、Ｏ型赤血球輸血がＥＲに常備されています。輸血をもらいに走る必要がなくなりました。

中心静脈穿刺

私は夏の沖縄、冬の東京ディスニーランドで開催される「ERアップデート」で中心静脈穿刺の実技セミナーを担当しています。八戸の研修医には、同内容のセミナーを３倍の時間をかけて教えています。中心静脈穿刺は人形と超音波、カテーテルキッドを使って実技指導します。超音波、穿刺、ガイドワイヤー留置、拡張、カテーテル留置、逆流確認。この一連の手技を一人80回経験します。2017年4月に発令された提言をもとに、末梢血管から中心静脈にカテーテルを進める方法も指導します。すごいでしょう。もちろん受講料無料です。講習会終了後に修了証を発行します。救急専門医試験のテキストの中心静脈穿刺のページは私が執筆しています。ここで教えていることは、間違いなしですよ。

災害派遣

国のために命を賭けたことはありますか？　八戸から災害時には数時間以内に、緊急医療チームDMATを派遣します。派遣のときは、海上自衛隊の救難ヘリ、三沢航空自衛隊の航空機、ドクターヘリで現地入りすることもできます。反射板が光る真っ赤なユニフォームは、国際ルールで決められた災害現場の医師の目印です。しかし、この色を着こなせる医師はそうはいません。国内で赤のユニフォームは八戸だけ。八甲田山雪崩、岩手・宮城内陸地震など実績を重ね、東日本大震災では八戸の被災地を守りながらDMATを延べ８隊も外に派遣しました。名実ともに災害現場のリーダーの証。院内災害実技講習会は年２回、別メニューで行います。災害現場時出動の安全(Safety)の3Sは馬肉（さくら肉）と坂とサッカーの３Sではありません。安全装備（self）、現場の安全確保(scene)、傷病者の安全確保（survivor）です。（にんにく、リンゴ，マグロ、サクランボの項参照）

救急

私は日本一の救命救急センターを作るために2004年に八戸に転勤してきました。私のコトを知りたい人は、書籍「劇的救命日記」を、インターネットで検索してみてください。2022年救急収容件数は20,000件、救急車が6,700件あった。心肺停止患者は284例(25%が救命成功し退院)、重症外傷213例、急性心筋梗塞196例、重症敗血症172例、大動脈解離瘤59例、重症脳血管障害は144例。歩いてくる患者から心肺停止までを一つのフロアーで扱うERを展開しています。夜11時頃の救急室は、医師、看護師、患者、家族、救急隊でごった返しています。この経験は、都内の救命救急センターでは味わえません。都内の病院の多くは、三次救急と一次救急を分けているからです。八戸ではいつでも救急専門医が寄り添いバックアップしてくれるので、致死的傷病者も怖くないはず。救急研修は1年目に2か月間ER中心の研修を、2年目に1か月間三次救急中心の研修を行います。ホンモノの救急医が指導します。年間1,700件出るドクターカーには1年目に、年間500件出るドクターヘリには2年目に乗ります。国内トップレベルの救急研修がここでできます。まるで外国。

専攻医研修

3年目から専攻医研修が始まります。八戸では、内科、総合診療、救急科、整形外科、外科が単独プログラムを持ち専攻医（3年目医師）を受けています。また、内科、外科、産婦人科、小児科、脳外科、放射線科、病理科、麻酔科は大学病院の最も重要な関連施設に指定され、八戸に3年目在籍していても、大学病院の専攻医研修プログラムに入れます。

男女交際

仕事、勉強に明け暮れる研修医ですが、男女交際も盛ん。それはそうだ。一日中同じ空間で生活すれば仲良くなる。私はいいと思う。研修医の男女交際大賛成。３年目、４年目で行う結婚披露宴は同窓会になります。院内保育所も完備。

テレビ

よくテレビカメラが院内に入っています。映像にわずかだけど出る研修医の自分はどうってことないと思っているでしょうけれど、両親はとても喜びます。親孝行です。八戸市立市民病院はマスコミから注目されている病院です。

風評被害

噂でブラックと言われたことがあります。現役研修医は言っています。噂と違って楽しいです！

コロナ

コロナでも研修は感染防御して、いつも通りです。座学、実技講習会もいつも通りです。人形を使った講習会の感染リスクが低いことは証明されています。研修医は発熱外来の当番が当たります。発熱外来と言っても、軽傷だけではなく、fever work upのスタートを受け持ちます。

まとめ

病院見学は、随時受け付けています。※宿泊無料、食事無料。病院見学時に同期見学学生の多さと、働いている二つ年上の研修医の輝きに驚くはずです。できれば二つ以上の施設を見学した後に来てほしいです。違いが判ります。なぜ、みちのくの、北のはずれの、ただの市民病院にこれだけ活気があるのか。そして、その輪の中に入りたくなるはずです。
八戸で始まる２年間の研修医生活。有意義な研修医生活。知りません、できませんと言える医師にとって唯一の期間。つらい思い出、温かい思い出、胸がキュンと締め付けられる思い出、私にもあります。医師人生でもう一度戻ってみたい唯一の魅力的な時期。それは研修医期間。その、魅力的な２年を八戸で、いっしょにすごすのです。私は皆さんに研修の２年間が魅力的になることを保証します。

※以下の電話またはメールでも、見学を受付けています。

• TEL：0178-72-5012　（臨床研修センター）
• E-mail：kensyu@hospital.hachinohe.aomori.jp

研修医からのメッセージ

研修医完成講座

研修医を対象に、院内外の講師による勉強会を毎週木曜日を中心に開催しています。

令和7年度採用　初期研修医　募集について

令和6年度採用　後期研修医　募集について

外部評価

2015年2月16日～17日　（財）日本医療機能評価機構による病院機能評価