臨床検査科理念・基本方針
理 念
私たちは、臨床検査を通じて地域医療に貢献し、病院経営に参加できる人材を育成します。
基本方針
①私たちは、スキルアップに努めるとともに、組織全体の利益を考えられる技師を目指します。
②私たちは、多職種連携によるチーム医療に積極的に参加します。
③私たちは、互いに尊重し合い、働きやすく働きがいのある職場を作ります。
令和2年4月1日制定
これから市民病院で働きたいと考えている方へ
【はじめに】
八戸市立市民病院は、青森県南の地域医療の要として、高度急性期医療から母子周産期医療、さらに緩和医療までを担う総合病院です。そのため当院で働く臨床検査技師には幅広い分野の知識とともに専門的な知識も求められます。これに応えるため、全員が臨床検査のゼネラリスト(オールラウンダー)になれるようローテーションを活発に行うと同時に、最低2つ以上の分野において認定試験を突破したスペシャリスト(認定資格取得者=専門家)になることを目標に努力しています。認定資格の取得にはお金がかかりますが、当院には受験費用や試験会場までの交通費、また認定更新のために参加する学会への出張費等の補助制度があります。向上心のある職員を病院全体で応援する教育体制が整っていることも当院の特色の一つです。
【福利厚生】
有給休暇、夏季休暇、介護休暇、育児休暇、子どものための看護休暇などは希望通りに取得できています。特に育児休暇について女性はもちろんのこと、男性が3ヶ月以上の育児休暇を取得する割合も100%です。子どもだけでなくイクメンも育てる環境が整っています。育児休暇は3年間の長期取得も可能であり、休暇明けに安心して業務に復帰できるよう、万全のリトレーニング体制を敷いています。
【入職後の流れ】
新人の技師は最初の6か月間、主に休日・夜間の緊急検査業務と、外来患者の採血業務に従事するための研修を受け、その後配属先が決定されます。特に夜間の緊急検査業務に関して不安に思う新人技師が多いことから、じっくりと時間をかけ研修を行っていきます。夜間の勤務に入った後でも、トラブル発生時にはすぐに先輩方が駆けつけてくれるので心配はいりません。安心してください。
【さいごに】
このほかにも当院臨床検査科は多職種連携によるチーム医療に積極的に参加しています。他部門のスタッフと交流し目的を達成するための協同は、仕事をしていく上での「やりがい」につながります。
このように当院は、地域からの期待が大きいため患者数が多く毎日とても忙しいです。しかし当院を選び就職してくれた職員が、「八戸市立市民病院を選んでよかった」、「臨床検査技師になって良かった」と思ってもらえるよう働きやすく働きがいのある職場を目指しています。そして病院内のみならず、地域医療全体に貢献できる技師を育成することが、臨床検査技師の地位向上に繋がると信じています。
「人材を人財にする」を目標に、八戸市立市民病院臨床検査科はこれからも職員教育に力を入れていきます。
臨床検査科
臨床検査科には、大きく分けて2つの部門があります。
ひとつは、患者さんの血液・尿・便や手術で切除した組織、体液中の細胞あるいは痰・膿などを検査する検体検査部門と、もうひとつは、患者さんの身体の状態を直接検査する生理検査部門です。
2つの部門での検査結果から、病気の診断や治療のためのデータが得られます。
検体検査部門は患者さんから直接には見えないところで検査をしていますが、貴重な検体(検査材料)を正確にかつスピーディに検査することで、患者さんの健康維持に貢献しています。
生理検査でも、患者さんに負担をかけない検査をするように心がけ、なおかつ正確な結果を出す努力をしています。
また、臨床検査科では24時間体制で検査を実施しており、夜間・休日の検査にも対応しています。
各検査のご案内
検体検査部門について
中央処置室
臨床検査科では、患者さんの血液検査(採血)に臨床検査技師2名が出向いて、看護師と一緒に仕事をしています。
患者さんの貴重な血液を採血するときは、痛みが少なく1回の穿刺で終わるように細心の注意を払っておりますが、場合によって患者さんに手を数回強く握ってもらうなどご協力をお願いすることがあります。また、検査目的により数本の採血管に分けて採血することがありますのでご理解をお願いします。
一般検査
一般検査で代表的な検査材料としては、人間の終末産物である尿と便を使います。
尿検査では、尿中の蛋白・糖などを測定したり、尿を遠心分離して残った沈渣を顕微鏡で観察することにより、尿路系の疾患や糖尿病を発見することができます。
便検査では、便中の血液の有無を調べたり顕微鏡で観察したりすることで、消化管の出血や寄生虫の存在を知ることができます。
血液検査
血液中の白血球・赤血球・血小板などの測定や染色した細胞(血球)の顕微鏡での観察、また、血液を凝固させる因子の分析により、特有な血液疾患などの診断に役立てています。
生化学検査
内臓が障害を受けたときに臓器の細胞から血液や尿中に流出する特有の物質を分析することで、肝臓病・腎臓病・心臓病などの病態を知ることができます。
分析したデータを医師に提供し、患者さんの治療方針の判断に役立てています。
輸血・免疫学的検査
特定の手術、強度の貧血、大量出血時などには輸血が必要とされます。
このときに使われる血液を検査し、輸血を安全に行うことができるようにしています。
また、肝炎などの感染症やリュウマチ因子、血液型などの検査も行っています。
細菌検査
食中毒や化膿・炎症が疑われる患者さんの検査材料(尿・便・喀痰・血液・膿など)を顕微鏡での検査や培養をすることで感染症の原因菌を特定し、その菌にはどんな薬剤(抗生物質)が良く効くのかといったことを検査しています。
病理・細胞診検査
手術や検査で採取した組織や、腹水などに含まれる細胞などを検査します。
組織を薄く切り出して染色したり、細胞を集めて染色し、顕微鏡で見て、癌細胞の有無を診断します。
手術中に切除した部分をすみやかに検査し、手術の継続判断の基にします。(術中迅速検査)
亡くなられた患者さんの病理解剖を実施し、臨床診断や治療効果の確認をします。
生理検査部門について
心電図検査
心電図は心筋が動くときに流れる非常に弱い電流を測定し、心臓の病気はもちろん、それ以外の病気を判断するうえでも大切な検査です。
検査には、安静時の心電図を記録するほかに、階段を昇降するマスター負荷心電図やランニングマシーンを使うトレッドミル負荷心電図、ICカードに24時間心電図信号を記憶させ波形の分析や編集を行うホルター心電図などがあります。検査のために電極などを装着しますが、痛みはありません。
超音波検査
超音波を使い、内臓の形態やエコー(反射した音波)の強さを抽出し異常を診断する検査で、心臓・腹部・産科領域などの各臓器の画像検査を実施します。
脳波検査
頭に電極を貼り付け、脳の中に流れる微弱な電気活動をとらえて検査をします。 病気の種類により電気活動の波形が違うことから、脳の働きが健康か調べます。
呼吸機能検査
肺の働きを大きく分けると、空気を出し入れする呼吸機能、酸素を肺から血液中に送り込み二酸化炭素を血液中から運び出すガス交換機能の2つがあります。この呼吸機能とガス交換機能がスムースに行われているかどうかを検査します。
チーム医療への参加
以上が臨床検査科の主たる業務ですが、この他に病棟や外来へ出向して、いろいろな業務を担当し、チーム医療への参加に努めています。
- 心臓手術時の体外循環ポンプの操作を担当しています。
- 心臓カテーテル検査時の生理検査を担当しています。
- 耳鼻科の平衡機能検査を担当しています。
- 糖尿病療養指導士として、糖尿病患者さんへの検査関連事項の説明を担当しています。
- 未熟児センター内での採血、検査に協力しています。
- 手術場やICUの検査機器(ガス分析機)の保守を担当しています。
- 不妊治療の補助を担当しています。